五日目
朝早くに医者が訪ねてきて昨日行ったレントゲン撮影の確認結果を報告された。
それによると順調に回復してきているということで、毎日排便もできているようなので鼻の管は抜去して、今日から少しずつ経口での食事も摂っていくと。
私は一般人の日常を流すVlog動画が好きでよく見ているが、日常の行動の中に必ず食事風景があり、それを見ていいなぁ食べたいなぁと思っていた。
正直それほどめちゃくちゃお腹が減っているというわけではなかったが、やはり口から美味しい食事を食べるというのは人間の三大欲求の一つだと実感した。
さて、食事再開となったこの日の朝食のメニューは、重湯(お粥の液体)、味噌汁(具なし)、ほうじ茶、以上。
何日間も胃に何も入れない生活をしていたので、いきなり固形物をバクバクと食べてしまうと胃や腸がびっくしてまたつまりを起こしてしまう可能性がある。
そのため初めは完全な液体の食事で、徐々に固形物の量を増やした食事に慣らしていくといったことらしい。
久しぶりの食事でワクワクしていたが、まぁ初めはこんなもんだろうと大人しく従った。
この日は週末で午後から彼女がお見舞いに来てくれる予定。
その前に鼻の管も外れたことだし入浴することにした。入院初日にシャワールームの場所と使い方を教えてもらっている。
点滴の管は繋がったままなので、一時的に点滴を外してもらって、腕に刺さっている針の部分が濡れないようにビニールで保護してからシャワー。
ここ最近暑くて汗をかいて体中ベタベタして気持ち悪かったし、髪の毛も油でギトギトになっていたが、シャワーをしてさっぱりすることができた。
これで彼女と会っても臭いと言われなくなる。
午後になって足りない物品を持って彼女がお見舞いに来てくれた。
緊急入院となった日の夜に電話で病気の説明や今後の治療方針などについて話していたが、伝えきれていなかったこともあるので改めて一から話し合った。
しかし既に全快とはいかずともかなり回復している自覚はあったので、この調子なら早めに退院できるかもとも伝えた。
面会は一回15分、週に二回までと決まっていたが、結局二時間くらいデイルームで一緒にいた。
平日は朝から晩まで仕事で、その合間を縫って荷物を届けてくれたり、週末はこうして見舞いに来てくれる。本当に素晴らしい女性が彼女で良かったと心の底から思った。
六日目
この日の昼食からメニューが少し変わり、重湯が三分粥になったり、おかずにも固形物が交じるようになってきた。
入院するまでの生活なら質素な食事には変わりなかったが、久しぶりに食べる固形物の美味しさを噛み締めながらありがたくいただいた。
この日も午後から彼女がお見舞いに来てくれる。
本来であればこの週末はカーシェアで車を借りて泊りがけで遠出する計画を立てていた。
天気もよく晴れており日中は暑いくらいの気候だったのでお花見にも行こうとしていたがそれもできなくなってしまった。
彼女は「また来年♪」と言ってくれた。来年も再来年も、この先もずっと彼女と一緒にいたい。
彼女が私のSwitchと彼女のポケモン ソードとアルセウスを持ってきてくれたので、さっそく夜からポケモン ソードをやり始めた。
七日目
また食事のメニューが変わり、七分粥になりおかずもより歯ごたえのあるものになった。
中でもうどんが一番美味しかった。うどんは消化にいい食べ物で、さらによく煮込んであり麺がふにゃふにゃしていたが美味しかった。
朝から医者が訪ねてきて、経過も良好なので明後日にでも退院できることを告げられた。
当初二週間と言われていたので嬉しい誤算だった。
さっそく彼女にもLINEで伝えると、予定よりだいぶ早い退院にびっくりしつつも経過が順調なことを喜んでくれた。
夜、洗濯物が溜まっていたので洗濯することにした。
洗濯機に洗濯物と院内のコンビニで買った洗剤を投入。完了したら洗濯物を広げて乾燥機に投入。
乾燥機は一回40分で100円だが一回じゃ乾かないので二回回した。
八日目
食事で十分栄養が取れているので点滴は不要となり、ようやく左腕の点滴の管を取ってもらった。
今までトイレに行くときにも点滴を吊り下げた点滴棒とともに行動する必要があり非常に面倒だった。
それがなくなり身軽になって開放的な気分になった。
ちなみに私は血圧が高いのかよく点滴の管から血が逆流してしまうことがあり、頻繁に針を刺し直してもらう必要があった。
点滴が外れるまで左腕四箇所、右腕一箇所に針を刺された。
九日目
いよいよ退院日。
提供された朝食を食べ終え、歯磨きと洗顔をしてまったりしていると看護師が訪ねてきて、この後事務員が来るので精算の話をしてそれから退院になると。
さっそくパソコンなどを鞄に詰めていると事務員が訪ねてきて精算の話をされた。
事務員が去り入れ替わるようにしてまた看護師が訪ねてきて、最後の間食のロールパンとあんずジャムと乳酸菌飲料を持ってきてくれた。
それを受け取りお世話になりましたと最後の挨拶をして病室を後にした。
会計で精算をして病院の外に出た。入院中は外に出て散歩することもできなかったので、久しぶりの外気が気持ちよかった。
電車を乗り継いで約一週間ぶりに自宅へ帰宅。Home Sweet Home、愛しの我が家。
入院中は掃除などの家事もすべて彼女にお任せしてしまっていた。
入院する前と変わらずきれいなままの家を維持してくれていたみたいだ。
その日の夜、久々に彼女と一緒の団欒を楽しんだ。