学生のときにしていたアルバイトの話。
私は一度だけバイトをしていたことがある。
それは通っていた学校からの紹介だった。紹介というか誰かやりたい人がいたらという話だったので、それに名乗りを上げた形。
バイト内容は、とある会社のデータ入力。というか雑用係。
一応自分のパソコンが与えられ、それを使ってデータ入力したり、あるいはドラフト版のページを確認したりといった作業をするだけ。
はっきり言って死ぬ程楽なバイトだった。
そのときはバイトをするということが目的だったため、なにか欲しい物があって初めたわけではない。
だから時給がいくらだったとか知らないままやっていた。
しかし楽な内容からしてそれほど時給は高くなかったのではないかと思う。
確か週に2回位だったかな。
辞めるまでに溜まったお金は一人暮らしを始めるときのお金になった。
そのバイトをしていたのは私の他に2人くらいいたようだったが、なぜか私の机だけ社員たちがいる島の一角だった。
他の2人はその島から離れた別の島だったようだ。
たまーに他の2人と同じ日に入るときがあってそのときに気付いた。
私の隣の席は当然社員だったが、気さくな人で当時流行っていたMMOのテイルズウィーバーを一緒にやろうと誘われた。
反対側の隣の社員は無口な人だったのであまり話したことがない。
業務上必要になるときだけ一言二言かわすくらい。
そんな和やかなムードの職場だったにもかかわらず、私はある時を境に行かなくなってしまった。
体調不良で休むとかではなく、ただ単純に行かなくなった。無断で。今風に言うとバックレ。
あれはもうすぐ卒業というときで、そのときには私も就職先が決まっており、卒業と同時にバイトも辞めることになる。
そのバイトを辞めるときに、大勢の前で挨拶しなければいけないということを考えたら、バイトにいけなくなってしまった。
そんなくだらない理由でバイトをバックレた。
今からしたらくだらない理由だと断罪できるが、当時は今以上に引っ込み思案な性格だったためそれを考えると致し方ないのだった。
社員たちは皆いい人だったので、最後の挨拶も和やかに進み皆気持ちよく終われただろうに、それを自らぶち壊してしまった。
数々の失敗をしてきたが、これはその中でもトップ10に入るくらい大きな失敗のひとつだといえよう。