いつの間にか蛇蝎のごとく嫌われる、そんなことばっかりだった

昔、会社に背が高くてイケメンの後輩がいた。

すらっとした体型で髪はサラサラ、今までニキビなどできたことのないような綺麗な肌、顔のパーツも整っていて、見た目はとにかく完璧な人間だった。

後輩とは違うグループだったので一緒に仕事をするということはなかったが、ある日のグループ合同飲み会の二次会で喋るようになり、それから昼休みなどにも喋るようになった。

仕事が終わって一緒にご飯に行くこともあった。ポケモンをやるというので、ファミレスで対人対戦なんかもしていた。

仲良くなってくると後輩は段々と自分のことを話すようになった。

後輩の親はどうしようもない人らしく、今でも給料の大半を家に入れているので金欠だということをしきりに言っていた。

その割には趣味がパチスロなのだった。パチスロをやめればもっと自由に使えるお金は増えるのにと思った。

後輩に連れられて私も初めてパチスロというものをやった。ビギナーズラックで勝てはしたものの、その楽しさはいまいちわからなかった。

お昼ごろになりご飯を食べに行くことになった。パチスロは1時間以内に戻れば席を確保しておけるらしい。台のところに自分のものを置いて席を外すというのが通例なのだそうだ。

私はたとえ安いものでも自分の持ち物を置いて遠くへ行くということができない。よく電車の停車中に荷物を席に置いてちょっとホームに出るということをしている人がいるが、私にしては信じられない。

基本的に人を信じていない悪い性根だから、目を離したらすぐに誰かにとられてしまうんじゃないかと勘ぐってしまう。

まあ、そのときは多分後輩の荷物なんかを私の台に置いて席を外したんだと思う。

後輩が「なにか食べたいものあります?」というので「ない」と答えると、美味しいラーメン屋があるんで行きましょうと。

連れられていったのは立川駅前にある(あった?)壱七家というラーメン屋だった。屋号で分かる人もいると思うが、いわゆる家系ラーメンというものだった。

人生初の家系ラーメンはまさしく衝撃が走るくらい美味しかった。暴力的なほどの脂と旨味、濃厚なスープに絡む太縮れ麺が最高に美味しかった。

それから半年くらいはたまに一緒にご飯に行ったりする仲だったが、ある日を境に後輩の態度が冷たくなっていることに気付いた。

原因はよくわからないが、たぶん私の後輩に対する態度がよろしくなかったんだろう。

最後のほうになると、明らかに嫌っているというところまでいっていた。

最初の頃はかなり仲が良かったほどだったのに、いつの間にか蛇蝎のごとく嫌われる。そんなことばっかりだった。