思い出は思い出としてあるから美しい

高校1年生のときに初めて作ったWebサイトは、社会人になってしばらくした頃にまったく更新しなくなった。

久しぶりにURLにアクセスしたらまだ残っていた。更新情報を見るに、どうやら2013年くらいのある日を最後に放置しているようだった。かれこれ8年近くも放置していることになる。

昔の個人サイトらしくリンクページがあって、見てみると当時交流のあった人たちのサイトが並んでいた。

実は私のサイトは何度か方針転換している。要するにメインコンテンツとする題材をあれやこれやと節操なく変えたことが何度もある。

更新停止時点で交流のあった人たちは、こう言ってはなんだかあんまり思い入れがない。本当にサイトのリンクだけで繋がっていただけだから。

それに比べたら、最初期の頃に交流のあった人たちのことは今でもよく覚えている。当時は創作活動が好きでそういうのが好きな人で集まって楽しくやっていた。

いつか誰かが「みんなでゲームを作ろう」と言い出した。私たちは二つ返事で了承し、さっそく誰が何をするかなどを話し合った。

私は絵も掛けないし作曲もできないので、シナリオとプログラミングを担当することになったと思う。

幸い絵が上手い人はいて、そういう人はとにかく絵が描きたいだけだから他のことはやりたがらない。逆にそれでいいと思った。

しかし、結局の所何ら形に残るようなものは残せず、ゲーム制作の話はいつの間にか立ち消えとなっていった。

残念な結果に終わってしまったものの、確かにみんなでひとつの目標に向かってあれやこれやとしていたときがあって、そのときは楽しかったからそれで良かったんだと思う。

そのときのメンバーのほとんどは連絡先やサイトURLを失念してしまったが、ただ一人だけサイトURLを覚えていた。覚えていたというか、私の放置しているサイトのリンクに載っていた。

本当に久しぶりにその人のサイトにアクセスしてみた。

その人はまだちゃんと更新を続けていた。毎日とは行かないまでも、平均して1ヶ月に一度くらいは更新しているようだった。

ただ、更新内容に少し驚いてしまった。その人はゲームプログラマーになっていた。その人が作っているゲームというのは、18禁ゲーム、いわゆるエロゲーというものだった。

更新される内容は、製作中の18禁ゲームの開発記録みたいなものだった。それを見ていると、UnityかBlenderかわからないが、キレイな3Dグラフィックのキャラクターたちの画像が載っていた。

18禁ゲームだったとしても、未だにゲーム制作を続けていて、しかも結構な人気のあるゲームだったりして、心の底から凄いなと思った。

最後にその人のサイトのリンクページを見てみた。結構な上位に私のサイトがあった。

この人はなんていい人なんだろう。いつしか交流もなくなって、挙句の果てに私はサイトの更新をやめてしまっているにもかかわらず、未だに私のサイトをリンクしてくれている。

ただ単に外すのがめんどくさいだけかもしれないが、私は嬉しかった。

久しぶりに連絡を取ろうかとも思ったがやめた。向こうが私のことを覚えているはずがない。それに連絡をとったところで話すことなんてなにもない。

思い出は思い出としてあるから美しい。