ぶつかった相手を睨む視覚障害者の人

割と近所にあるでっかい公園に行ってきた。

いっぱい人いるだろうなぁと思っていったら案の定、祭りでもしてるのかっていうくらい人がいた。

小学生の頃、地元で夏祭りをやってたんだけど、下手したらそれくらいいた気がする。

都会は何でもない昼下がりに田舎の夏祭りと同じ程度の人手なんだったら、都会の祭りはいったいどうなってしまうんだろう。

時期になるとニュースになってたりするし容易に想像できるから私は絶対に行かないけどね。

大半は家族連れで、たまにカップル。私のようにぼっちで来てる変質者はほとんどいなかった。

ひとりでいるように見える人も、きっと一時的に単独行動しているだけで、そのうち連れ合いと合流するんだろう。

あの大勢の中、本当にひとりで来ているのは私だけだったんじゃないかな。

風が強い日だったんであんまり長居はできなかった。

ベンチに座ってボケーッと噴水見たりした後、ぐるっと一周して帰途へ着いた。

その帰り、歩道を歩いていると、後ろから棒で点字ブロックを探りながら歩いている人に追い抜かれた。

この人の歩くのが早いわけではなく私が遅かった。

視覚障害者の人だったのかもしれないし、視覚障害者の気持ちを知るためにあえてそういうあるき方をしている人なのかもしれない。

ボランティアなどで視覚障害者の支援をしている人の中にはそういう人がいると聞く。

進行方向が一緒だったので歩いていくこの人をなんとなしに見ていたら、反対側から何人かの集団が歩いてきているのが見えた。

集団のひとりは点字ブロックの上を歩いていて、このまま行けばぶつかるんじゃないかと思われた。

集団はおしゃべりに夢中で、向かってくるこの人に気づいているのか気づいていないのか、避けるのか避けないのか微妙なあるき方をしていた。

もうすぐぶつかる、というすんでのところで集団のひとりがサッと避けた。

ああ良かった、ぶつからずに済んだ。

そう思っていたら、この人がばっと後ろを振り返った。

どうやらすんでで避けたように見えたのは私だけで、実際は肩がかするくらいの衝突があったようだった。

突然の衝撃にびっくりし、振り返って集団を睨む人。

なんか、おかしい。

視覚障害者の人だったら振り返ったところでぶつかった人の姿を確認できるわけがない。

もしかしたら後天的な視覚障害者の人だったのかもしれない。

目が見えていたときのように、人とぶつかったら反射的に振り返って相手を睨んだ。

ところで点字ブロックのない道を歩くときはどうしてるんだろう。

点字ブロックがあるのはそれなりに大きい道の歩道だけで、一本曲がって住宅街の路地へ入ると点字ブロックなどない。

トボトボ歩きながら考えごとをしていたらあの人はいつの間にかいなくなっていた。