恋愛譚(2) -連絡先-

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whitia.hatenablog.jp

東京から地元に戻ってきた私は、車の免許を取得するために自動車学校に通い始めました。

そこで出会った1人の女の子とときどき話すようになりました。彼女と話しているうちに、私は段々と彼女に惹かれていきました。

なんとか連絡先を聞き出したい。しかし、彼女と話すときには周りに誰かがおり、周囲の目が気になってなかなか聞き出すことができないでいました。

刻一刻と迫る自動車学校卒業の日。自動車学校を卒業してしまうと、二度と会えなくなってしまう… そんなのは嫌だ。せっかく仲良くなれたのに、卒業してそれっきりなんて寂しすぎる。

そんなある日、待ちに待ったチャンスが訪れます。

卒業が数日後に迫ったある日、帰りのバスを待っていると、隣に彼女がやってきました。すぐ近くに待合室があり、そこには何人かいますが、離れているし会話の内容までは聞こえないでしょう。

これはチャンスだと思いました。この絶好のチャンスを逃してしまうと、もう二度とこんなチャンスは訪れないでしょう。

勇気を振り絞って切り出しました。

「そういえば、まだ名前聞いてなかったですよね?」

「あ、○○です」

はい、まだ名前すら聞いてませんでした。ふむ、○○というのか。あんまり顔と名前が一致してないな。でも、そのギャップがまたいい… などと気持ち悪いことを考えつつ、私も名乗りました。

「もし良かったら、連絡先、教えてくれませんか?」

遂に言ってしまった… 声は震えてなかっただろうか。唐突すぎやしなかっただろうか。でも、何かを付け足すと、何を言ってもいかにも「連絡先を聞く準備をしてました」という感じになりそうな気がする…

ところで、これはナンパになるんでしょうか。よくわかりませんが、こんな風に連絡先を聞くのは初めてです。

断られたら帰りのバスが気まずいな… それどころか、卒業までの数日、いたたまれない気持ちで過ごすことになるんだろうな… でも、チャレンジもせずに卒業してしまったら後悔しそうだし、断られたとしても、卒業したら二度と会わないだろうし、別にいいか…

などとネガティブなことを考えていると…

「はい、いいですよ」

あっさりと教えてくれました。慣れない手つきでLINEのIDを交換しました。

家に帰って、トーク画面に表示された「よろしく」「よろしくお願いします」だけのやり取りを見て、ニヤニヤしてました。究極に気持ち悪いですね。

たかが連絡先を交換しただけなのに、もうすべてを成し遂げたかのような気持ちでした。

当然、ようやくスタートラインに立ったに過ぎません。この後、デートなどをしてもっと仲良くなっていく必要があるのですが…

次回に続く…

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