最後の挨拶

先日、チームメンバー全体向けに最後の挨拶を行った。

まずはじめにPMから私が9月いっぱいでチームを離れる旨を告げ、次いで私が引き継ぎ、そのまま最後の挨拶をすることになった。

私が第一声を発そうとしたとき、ビデオ会議のチャット欄がにわかに動き始めた。

「えっ」「えええええええええ」「😭」「嘘だ...」「悲C」「お世話になりました...!」

次々に流れていくメッセージを見ていると、かなり驚かれているということが伝わってくる。私がいなくなることを嘆き悲しんでいたり、私に感謝を伝えてくれるものばかりだった。

あまりの反響の多さと勢いに面食らってしまって、あらかじめ考えていたはずの言葉がうまく口から出てこなくなった。

チームを離れることを伝えたときにあまり反応がないとそれはそれで寂しい。自分がいようがいまいがそれほど影響がないということだから。

その人がチームに残したもの、その人からチームが得られたもの、それらの多寡によってチームを離れるときの反響が違ってくる。

今の現場に入ってから半年ちょっとの間に何度か人の移り変わりを見てきた。数ヶ月しかいなかった人に対しては、残念ながらあまり多くの反応があるわけではないようだった。きっと自分もそんな感じになるだろうと思っていた。

だからこそ今回の反響の大きさには驚いた。いい意味で予想が裏切られることになった。

私が必死に言葉を紡いでいる間にもチャット欄は流れていく。あまり長くダラダラと話し続けるのは好きじゃないので、1分足らずであらかた話し終え、最後に次のように締めくくった。

「残り1ヶ月弱となってしまいますが、最後までどうぞよろしくお願いします」

それまでミュートの状態でチャット欄にいろいろ書いてくれていたチームメンバーたちがミュートを外し、口々に「よろしくお願いします!」と返してくれた。

今の現場のチームメンバーたちは全員、本当にいい人たちばかりだった。心の底からそう思える。そのことは最後の挨拶でそのまま伝えた。

その後もしばらく「サイン会はいつですか?」とか「握手会は?」とか冗談を言い合ったりして、和やかな雰囲気で終えることができた。

全体ミーティングの後、私含めた少人数でミーティングをしているときに突然一人の女の子が「本当に悲しいです...」と呟いたのを聞いたが、私はどう返せばいいのかわからなかった。

フリーランスである以上、一つの現場に留まるということはまずない。どこの現場でも離れるときがきっとくる。それはフリーランスでいる限りこの先もずっと続き、出会いと別れを繰り返していく。