近況報告 (2)

(前回の続き)

参画日は1/24に決まった。

1/24の午前中に参画先の企業に行き、貸与PCの受け取りと初期設定を行う。その後、軽く業務事項を伝えられた後は会社内にいる必要がないので、自宅に戻ってリモートで仕事をすることになった。

案件を探すときに業務形態について特に希望は出していなかったが、たまたまフルリモートの案件に参画することになった。

ただ、時勢柄、フルリモートないしは時々リモートという案件は多かったように思う。

なので初日を除いて出社したことは一度もない。朝起きてSlackで業務開始報告をするだけでいい。

フルリモートを経験してしまうともう二度と出社なんていう無駄なことはしたくないなと思う。

IT業界だからこそ、フリーランスだからこそ、享受できる特権だと思う。この業界にいて心底良かったなと思う。

今回の案件は未経験の分野ということで、単価はかなり低く設定して案件探しを行った。

今回の案件は480,000円/月という単価で契約することになった。サラリーマンからしたら圧倒的に高い金額だが、フリーランスには福利厚生も保障もないので、この単価でもかなり低い金額ということになる。

しかし、フリーランスのいいところは、さらに高い単価を目指して現場を変えることができること。

今は初っ端の案件なのでこの単価に甘んじているが、この先単価をあげていく算段はあった。同じ現場で単価アップ交渉してもいいし、希望単価をあげて別の案件を探してもいい。

ひとまず今は業務経験を積むこと。それが最優先事項だった。

時は流れ8月某日、私はある決心をした。単価を上げて別の案件を探そう。

まずエージェントにそのことを伝える。やり取りの結果、今の案件は9月末までということになった。

そして希望単価を上げて再び案件探しが始まった。

翌週にはもう既に1件商談が組まれた。9月末までは今の現場で仕事をしているので、仕事が終わった後、夕方6時に商談を行うことになった。

さして緊張はしていなかった。去年の12月〜今年の1月頃に行っていた案件探しの中で学んだことや考えたことなどはすべてメモにまとめてあった。

自分の経歴紹介の部分だけ少し修正しただけで商談に臨むことになった。

商談が始まっても緊張はしなかった。今年の1月末から今までやってきたことを説明するだけだったから。

今回の案件ではそれなりにいろいろと取り組んできた自負があった。自分に自信を持つことが大事だということはわかっている。自信のある候補者のほうが相手に与える印象は格段にいい。

根拠のない自信ではなく、確固たる事実に基づいた自信なので、どんな質問にも言いよどむことなく答えられる。

先方からの質問が多いほど、その商談はうまくいっている可能性が高い。自分に興味を持っていろいろな質問をしてくれているということだから。

1〜2個の質問で早々に切り上げられる場合は、もう既に見限られている可能性がある。

商談は1時間をこすほど長丁場になった。こんなに続いた商談は初めてだった。

商談後のフィードバックでは、かなり確度の高いと言われた。そうは言っても期待すると駄目だったときに落ち込むので、努めて期待しないようにした。むしろ、どうせ駄目だろうくらいに思っておいたほうがいい。

仮に駄目だったとしてもまだ1社目だ。これからどんどん商談をこなすつもりでいたし、その中には自分を必要としている案件があるはずだ。

夜9時頃、スマホが鳴った。出るなりエージェントが言った。

「商談の結果が出ました。ぜひうちで働いて欲しいそうです」

この言葉を聞くのは都合3回目になる。正直、スマホが鳴った時点でそうじゃないかと思っていた。それでもやっぱり嬉しかった。

しかし私は即決はしない。そういう性格だ。他にいい選択肢があるのではないか、見落としていないかを慎重に考えた。

とりわけ今回は1社目ということが引っかかった。その時点ではまだ他の商談などが決まっているわけではなかったが、なんとなくその事実が頭をもたげた。

エージェントが言う。

「フルリモートとなると数が絞られてきておりまして、今回の案件も非常に人気の高いものとなっています。他にも4人ほど候補者がいる状況です」

それら他の候補者の中から私を選んでくれたのだ。相当好印象を与えられたということだろう。

「わかりました。契約します」

私はそう返答した。単価は700,000円/月。半年ちょっとで220,000円アップ。十分すぎる躍進と言えるだろう。

ようやくフリーランスとしてはまずまずの単価水準までこれた。年収にすると840万円。同世代の平均からするとだいぶ高いほうだろう。

当初、10月はまるまる休みを取ろうと思っていた。しかしエージェントの手違いにより先方には10月から参画できると伝えてしまっていた。

10月のはじめに久しぶりに地元に戻ろうと考えていた。10月まるまるとは言わずとも、せめて帰省ができるくらいのまとまった休みはほしい。

交渉の結果、参画日は10月第2週からということになった。10月第1週は自宅でゴロゴロしたり地元に戻って友達と会ったりする。

去年の今頃は働きもせず毎日ゴロゴロしていた。無駄にブログを毎日更新していて、無職である私でストレス発散するような罵倒コメントに心を痛めていた。

それから1年も経たないうちに700,000円/月もらえるほどにまでなった。

もちろんフリーランスという立場上、その金額がずっと保証されているわけではない。

しかし、ここまでこれた私は、仮に今の案件がなくなったとしても、なんとかなるという強い思いがある。