中学生の時、同級生の女子が亡くなった

中学生の時、同級生の女子が亡くなった。

ある日、突然武道場に学年全員が集められることになった。なぜなのかはわからなかったが、集められる時はいつも突然だったしそのときも何も考えてはいなかった。

武道場に集まった生徒たちはみな楽しそうにお喋りしていた。そのときは。

学年主任の教師が声を荒げて静かにしろと言う。それもいつものことだったが、今にして思い返せばこのときはいつもより厳しめだったように思う。教師たちの間に流れる重苦しい空気を感じたのかもしれない。

生徒たちが静まり、学年主任が重々しく口を開いた。

「○○さんが亡くなりました。病気だったそうです」

あのときの張り詰めた空気は忘れられない。そのことを聞かされた時、頭の中が一瞬からになったように何も考えられなくなった。

きっと私以外の同級生たちも同じ空気を感じていただろう。咳払いすることすら躊躇われた。

その後学年主任が何かを話したと思うが覚えていない。集会が終わりぞろぞろとそれぞれの教室へ戻る時にも誰一人口を開こうとは思わなかった。まるで葬列かのように。

学年主任は死因を病気だと言っていたが、私は必ずしもそうではない可能性をどうしても考えてしまう。

亡くなった○○さんは、はっきり言えばいじめられっ子だった。普段から学校に来ることはほとんどなく、1年の時に同じクラスだった私でも1回か2回くらいしか見かけたことがないほどだった。

いじめられっ子というより、明らかに忌避されていた。暴行を加えられたり持ち物に悪戯をされたりするようなことはなかったと思うが、誰も彼女と口を聞こうとは思わなかったし実際彼女が学校で教師以外の誰かと喋っている姿を見たことがなかった。

ただ、陰で悪口を言われていただろうし、例えば授業でプリントを配られる時に彼女に対しては嫌そうに(それが彼女に伝わるように)配っていたようなこともあったから、やっぱりあれはいじめだった。

原因は誰の目にも明らかだったように思う。あまり言いたくないが、彼女は容姿があまり良くなかった。

言葉を濁さざるを得ないが、一般的に容姿が劣っているというようなレベルではなかった。彼女のような容姿で生まれてきたなら、生きるのが辛いだろうなという思いはあった。

彼女の死因は自殺だったのではないかという考えが残る。

実際のところはわからないし確かめたいと言う思いすらないが、20年近く経った今でも時々このことを思い出す。