従姉妹の家に行ってきたさる某日の出来事

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さる某日、神奈川にある従姉妹の家に行ってきた。

自粛で疲れているだろうからリフレッシュも兼ねて遊びに来ない? ということだった。

私などはいくらでもひきこもれるタイプの人間で、自粛のどこに疲れる要素があるのか甚だ疑問だった。

そもそも自粛になる前からセルフ自粛していた身なので、3月とか4月ごろから自粛を始めたそこらの一般人とも境遇は一緒ではない。

買い物にさえ行く必要がないのなら本当に一歩も外に出ないことだって余裕だ。というかそうなってほしいとすら思う。

とはいえ断れない性格の私は、メールの文面に精一杯の乗り気じゃない雰囲気を含ませた「じゃあ、お邪魔させてもらおうかな...」などと書いて返信した。

「ぜひ来て!」という返事とともに、あれよあれよというままに従姉妹の家に行くことになってしまった。

当日、朝からバケツを引っくり返したような土砂降りだった。

私は傘をさすのが嫌いだ。普通に持っているだけでも腕が疲れるし、強風に煽られ対抗しようとしてさらに腕が疲れる。多少の雨なら傘はささないがこの雨ではさすがに無理。

電車に乗って指定された駅へ。大きい駅だったが人はまばらにしかいなかった。

改札前で落ち合った従姉妹が「大きい駅でしょ」などと誇らしげに言う。

住んでいるところが都会だということを自慢気に話す人がいるが、私は何一つすごいことだとは思わない。

都会なんて住もうと思えば誰だって住める。東京23区内にだって探せば安い賃貸物件なんかすぐに見つかる。

東京出身だということを自慢気に言うのも同様。たまたま親が東京に住んでただけであって本人の実力でもなんでもない。七光の中でもトップクラスにくだらない自慢。

そんなことはおくびにも出さず適当に話を合わせておいた。

家に着いて一息ついていると、従姉妹がお気に入りのアーティストの曲を流し始めて「どう?」とばかりに見てきた。

音楽を聞かされて感想を求められることほど辛い時間はこの世にあるのだろうか。

好きな音楽だってわかってるからけなすわけにはいかず同調するしかないじゃない。

たとえそれが海外のデスメタル(アーティスト名は伏せる)でも「へぇ、いいですねぇ」とか言うしかないじゃない。

音楽を聞き続けるのは辛かったので部屋を見回したら漫画があったので適当に手にとって読むことにした。

すかさず従姉妹の解説が入る。この漫画はこうで、あの漫画はああで...

先入観なくゆっくり読みたかった... しかもほとんど少女漫画で、女性漫画家特有の雰囲気が苦手な私には辛いものがあった。

中学生くらいのころ、友達が『NANA』を大絶賛してて、試しに読んでみたときの感覚がフラッシュバックした。

きっと女が男の漫画(美少女がたくさん出てくるような)を読んだときも同じ感覚なんだろうな。知る由もないけど。

そうこうしてたら夕飯の時間。従姉妹が作る料理は本当にうまいから実は楽しみだった。

ちょっと辛かったもののやっぱり美味しかった。これだけでも来た甲斐はあったかな...

自宅に帰ってきて思った。行かなくても良かったな、これ。

うちに来てくれる分には構わないけど、自分から行くことはないだろうな。