クライアントとの進捗会議にて。
とある案件の要件定義が遅れているとの話がありました。要件定義はクライアントが行い、私は要件定義を基に開発を担当する予定です。
要件定義が遅れれば、当然その後に控えている開発も遅れることになります。
「要件定義が遅れているので開発着手は○日頃からになります」
「わかりました。再調整後のスケジュールが決まったら教えてください」
「いえ、スケジュールの再調整はしません」
は?
開発着手は遅れるが完了予定日は変わらないということは、開発期間を短縮しろということです。
要件定義が遅れているのにも事情があるとは思いますが、そんなことは開発する側には関係のないことです。
自分たちの担当フェーズで遅れを発生させたのなら、自分たちでユーザーと調整するなりしてスケジュールを見直すのが筋だと思いませんか。
開発期間を短縮して完了予定日になんとか間に合わせたところで、「これくらいの進捗遅れなら開発フェーズで吸収してくれる」と思われるのが関の山です。
次回からはもっとタイトなスケジュールにされる可能性すらあります。
クライアントの言葉の端々からIT技術者を下に見ている雰囲気をひしひしと感じます。
果たして本当にIT技術者のほうが立場が下なんでしょうか?
私たちIT技術者はクライアントの使いっ走りではありません。クライアントが持たないIT技術を、クライアントからの依頼に基づき提供しているのがIT技術者なのです。
もちろん、IT技術を提供する対価として報酬はもらいます。その報酬はあくまでIT技術を提供することについての対価に過ぎません。
IT技術者と言えども根本はサービス業と仕組みは変わりません。
例えばスーパーで買い物をするときのことを思い浮かべてください。日本の接客は世界一ですから、スーパーの店員にも笑顔で気持ちよく商品を売ってもらえるでしょう。
しかし、店員に「買った商品が重いから家まで運んでくれ」と言っても拒否されるでしょう。なぜなら店員は商品を提供する対価としてお金をもらっているが、商品を家まで運ぶという対価はもらっていないからです。
IT技術者にも同じことが言えます。IT技術者はIT技術を提供することの対価はもらっていますが、クライアントの進捗遅れを吸収することの対価はもらっていません。
しかし、実際にこういう局面になったとき、IT技術者が苦労することでなんとか仕事が成り立っているのが現実です。
IT技術者が不当な扱いを受けていることがわかってもらえたでしょうか。
一人でも多くのIT技術者が不当な扱いから解放されることを祈るばかりです…