「○○さん、ちょっといいですか?」
朝、PLが私に話しかけてきました。PLは席を立って誰もいないテラスの方に歩いて行きます。
なんだろう… そんなに改まった雰囲気というわけではないものの、わざわざ人のいないところに行って話さなければいけないことなんだろうか…
「来月からは来ていただかなくて結構です」
そんなことを言われるんじゃないかと思ってドキドキしながらPLに着いていきました。
「実は今日、仕事終わりにプロパーの懇親会があるんですが、良かったら○○さんもどうですか?」
な〜んだ、ただの飲み会のお誘いか。契約打ち切りを宣告されるんじゃないかと思ってドキドキしたわ。
あんまり飲み会は好きじゃないけど、せっかくなんで最初の一回くらいは参加しておくか…
というわけで急遽、プロパーの飲み会に参加することになってしまいました。
深く考えずに参加表明してしまったものの、飲み会の時間が近づくにつれ「嫌だなぁ…」という気持ちが大きくなっていきました。
自業自得。身から出た錆。すべては私の軽率な判断が招いた悲劇。
飲み会が始まる頃には完全に後悔してました。始まって30分くらいで帰ろうかなとか考えてました。
飲み会が始まりましたが、案の定、社内の話題ばかりで私には何のことかさっぱり。いえ、話してる意味はわかるんです。でもね、社内BBQ大会のこととか社内旅行のこととか、フリーランスの私には死ぬほどどうでもいい。
もう帰ろうかなぁと考えていたら、私の隣の隣にいる人はフリーランスから会社員に戻ったという経歴を持っていると教えてもらいました。
フリーランスから会社員に戻った…? なんで…?
この元フリーランスに会社員に戻った理由を聞いてから帰ることにしました。
しばらく機会を伺っていたところ、私と元フリーランスの間にいた人がトイレで席を立ったすきを狙って、さり気なく元フリーランスとの距離を詰めました。
「なんでフリーランスからまた会社員に戻ったんですか?」
こういうのは単刀直入に聞きたいことだけ聞いたほうが回りくどくなくていいです。
「この先10年後20年後も、フリーランスとして働けていられるか不安だったからですかねぇ」
確かにフリーランスには明確に年齢差別があります。端的に言って高齢のフリーランスは扱いづらいと認識されています。
年齢がフリーランス>PLだと仕事の指示が出しづらかったり、フリーランスの仕事に対して意見を言いづらいという現実的な障壁があるのです。
そういう意味ではこの元フリーランスの抱えていた不安は正鵠を射たものであったと言えます。
ちなみに私は生涯現役フリーランスでいるつもりは毛頭ありません。
「それからフリーランスだと新しい技術の情報が入りづらいんですよねぇ」
これは間違いです。むしろフリーランスのほうが新しい技術に対して敏感で、様々な現場を経験することで新しい技術にふれる機会はずっと増えます。
会社員としてどこかの組織に囲われてしまうほうが情報の入りは悪くなります。会社員だと原則的にその会社で使われている技術の情報しか入ってきません。
新しい技術の情報が知りたいのならフリーランスに戻るべき。
聞くところによるとこの元フリーランスはたったの1年で3つの現場を経験したそうです。最短だと1ヶ月で現場を変わったこともあったそうです。
現場を変わった理由までは聞いてませんが、1ヶ月というのはあまりにも短すぎだと思います。どんな理由があったにせよ、1ヶ月で現場を変えたという事実がどういう印象を与えるかを考えれば、軽率な行動だったと言わざるを得ません。
これで目的は達成したので、それから少しして帰りました。
飲み会では他に代表取締役の方、副社長の方、PLなどとも話すことができました。それぞれから興味深い話を聞かせてもらって、結果的に参加して良かったかなと思ってます。
聞きたい話はだいたい聞けたので、次からは断ろっと。